蛍光鉱物とは紫外線ライト、エックス線、電子ビームなどをあてると蛍光を発する鉱物のことを言います。このうちエックス線や高いエネルギー電子エミッターなどは私たちには扱うことができませんが、紫外線ライトにより蛍光を調べることができます。 紫外線とは可視光線のうち紫より波長の短い光(電磁波)で目には見えません。この紫外線のうち周波数が400-360(nm)帯の紫外線を長波300-200(nm)帯の紫外線を短波とよび、この周波数帯の紫外線をあてることにより反応して蛍光する鉱物が多くあります。電気屋さんで売られているブラックライトと呼ばれる蛍光灯は長波帯をカバーしています。現在約3600種以上の鉱物が発見されていますが、そのうち500種類の鉱物が何かの方法で目に見える蛍光をします。 電磁波をあてることによる発光をルミネセンスと呼びますが、熱や衝撃を与えることにより発光する場合もあり、熱ルミネセンスや摩擦ルミネセンスと呼んでいます。 蛍光は蛍光に関与する電子イオンによるものですが、純粋の鉱物はほとんど蛍光しません。蛍光はこれらの鉱物に不純物が混ざることによって引き起こされます。また、純粋な鉱物でも蛍光するものが少しあります。灰重石やパウエライト、リン灰ウラン石がそれですが、ベニト石、白鉛鉱、硫酸鉛鉱などもそうではないかと言われています。 蛍光を利用して鉱脈の発見や不純物の種類を調べることができます。たとえば、灰重石は通常シアン色に強い蛍光をしますがモリブデンを含みますますと白又は黄色になります。これはタングステンの取り出しを厄介にします。また。夜や暗い洞窟などでは鉱脈を見つけるのに使用できます。 カルサイト(方解石)やフローライト(蛍石)は一般的な蛍光鉱物です。カルサイトは赤みを帯びた色に、フローライトは青白く蛍光します。マンガンを含んだマンガノカルサイトは長波ではピンク色に短波ではより赤く強烈な蛍光を示します。また、カナダのケベックで発見されたウエルネル石は強烈な黄色にハックマン石はオレンジ色に、ニュージャージー、フランクリンの珪亜鉛鉱は鮮やかな緑色に強い蛍光を示し、とても印象的です。 「世界の蛍光鉱物首都」と呼ばれる場所があります。それは、ニュージャージーのフランクリンで近くのオグデンズバーグを含めると260種類の鉱物が発見されこのうち56種類が蛍光鉱物です。こんなに多くの蛍光鉱物は発見された地域は他にはありません。フランクリンではひとつの鉱物標本から5つの蛍光鉱物が発見されています。フランクリンとオグデンズバーグの鉱山はすべて閉山しましたが、オグデンズバーグのスターリング鉱山は蛍光鉱物美術館として見学することができます。坑内の壁はブラックライトでライトアップされ極色彩で幻想的なタイムトンネルのようだそうです。 |