「雲母」はグループ名で組成の違いにより多くのメンバーがあります。雲母は層状(フィロ)珪酸塩鉱物(シート珪酸塩鉱物)でその最大の特徴は「千枚はぎ」と呼ばれるように、鉱物中で最も完全な劈開(C面)をもっています。これはカリウム層との弱い結合のよるものです。また、単斜晶系ですが柱面をはさむ角度が120°で6角形になるため六方晶系のようにみえます。このグループには日本で発見された鉱物が4種類も含まれています。
雲母グループの一部
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●黒雲母 (Biotite) K(Mg,Fe2+)3[AlSi3O10(OH,F)2 硬度:2.5-3 比重:2.8-3.2
広く分布している造岩鉱物の一種で火成岩や接触変成岩中に多く見つかり、特に火山岩の主成分です。
黒く真珠光沢をしていますが、濃い色の金雲母も同じような色をしているため見分けがつかない場合がありますが、やはり、黒雲母の黒は特有なものです。双方の相違は鉄の量に依存しており、黒雲母は鉄の量が多く金雲母は少ないようです。黒雲母の黒い色は鉄の量により増加します。通常黒雲母の結晶は小さいのですが変成岩中のものは大きくきれいな結晶になり収集家を喜ばせてくれます。蛭石は黒雲母の変質したものです。
●金雲母 (Phlogopite) KMg3(Si3Al)O10(F,OH)2 硬度:2.5-3 比重:2.86
マグネシウムを含む石灰岩中で見つかることが多く褐色、白、緑色、黒褐色をしています。
●トリリチア雲母(Trilithionite) KLi1.5Al1.5AlSi3O10F2 硬度:2.5-3 比重:2.8-3.2
ポリリチア雲母とともに2つのリチア雲母シリーズのメンバーでリチウムを含んでいます。
●ポリリチア雲母(Polylithionite) KLi2AlSi4O10F2 硬度:2-3 比重:2.8-3.2
トリリチア雲母とともに2つのリチア雲母シリーズのメンバーでトリリチア雲母より多くのリチウムを含んでいます。紫外線で黄色く蛍光します。
●クリントン石(Clintonite) Ca(Mg,Al)3(Al3SiO10)(OH)2 ●白雲母 (Muscovite) KAl2(Si3Al)O10(OH,F)2 硬度:2-2.5 比重:2.8-3.1
白雲母も造岩鉱物一種で黒雲母ほどではないですが広く分布しています。白雲母は、カリウムイオンの層によって弱接合した珪酸アルミニウムシートの階層構造を持っています。これによりとても薄く完全にはがれやすく鉱物中最高の完全な劈開をします。しかし、薄くはがれた列片は安定的で砂漠の砂の中からもみつかることがあります。まは、耐火性、絶縁性に優れ産業的にも一番利用されている雲母です。
●真珠雲母 (Margarite) CaAl2(Al2Si2)O10(OH)2 硬度:4 比重:2.99 - 3.08
●チンワルド雲母 (Zinnwaldite) KLiFe2+Al(AlSi3)O10(F,OH)2 硬度:2.5-3 比重:2.8-3.2
●砥部雲母 (Tobelite) (NH4,K)Al2(Si3Al)O10(OH)2 硬度:2 (日本の新鉱物)
●木下雲母 (Kinoshitalite) (Ba,K)(Mg,Mn,Al)3Si2Al2O10(OH)2 硬度:2.5-3 (日本の新鉱物)
●益富雲母 (Masutomilite) K(Li,Al,Mn++)3[(Si,Al)4O10](F,OH)2 硬度:2.5 (日本の新鉱物)
●白水雲母 (Shirozuite) KMn2+3(Si3Al)O10(OH)2 (日本の新鉱物)
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